投資制度

(1)会社設立

ブルネイ法第39条(会社法)に基づき、ブルネイで事業を行おうとするすべての会社は、はじめにブルネイ法第92条(社名法)に従い、検察庁企業名登記所に会社名及び事業名を登記する必要がある(手数料:10ブルネイドル)。 

一般に設立する事業の種類に制限はないが、直接公益に影響を及ぼす事業又は弁護士、会計士、医師等の専門家等の特殊事業については、所轄の政府から承認(銀行、保険会社、融資会社等の金融業及び会計士は財務省、自動車は首相府経済計画開発局、旅行会社は産業一次資源省観光局、弁護士業は検察庁、医師業は厚生省等)されなければならない。

 

(1)個人事業

ブルネイで個人事業を営もうとする者は、登記をしなければならないが、外国人が登記することは認められていない。 

 

(2)会社の設立

 a.非公開会社(Sdn Bhd)
ブルネイには株式市場が存在しないため、会社設立にあたっては、非公開会社が一般的なケースである。 設立には、2人以上50人以下の株式が必要となる。株式は、ブルネイ国民又はブルネイ居住者である必要はない。株主が株式を譲渡する権利は制限されており、株式の一般への募集は禁止されている。
なお、最低株式資本は規定されていない。 企業名承認のためには、企業名及び事業名を登記後、覚書及び会社の定款等を検察庁企業名登記所に提出しなければならない。承認されると会社設立証明書が発行される(手数料:25ブルネイドル、登記手数料:会社資本に応じて徴収)。 
なお、非公開会社には、以下の要件が求められる。 

 
  1. ブルネイ国に登録された監査人を任命する
  2. 取締役の報告書を添えて損益計算書と賃借対照表を毎年作成する
  3. 財務省経済開発局へ毎年財務データを提出する
  4. 取締役と株主を含む年次報告書を提出する
  5. 以下の記録を保存する

 b.Bhd(公開会社) 
非公開会社との違いは、一般に譲渡できる株式を自由に発行できることであるが、現時点においてBhd(公開会社)はブルネイには存在しない。 

 

(3)外国人、外資に対する制限

   (a)制限業種
特に制限する規制はないが、外国籍を持つ者が会社名及び事業名の登記申請を行った場合、その申請書が政府関連部局に回覧され、それぞれの見解と承認が求められる。 

 

   (b)出資比率
特に制限する規制はない。 

 

   (c)役員比率
すべての企業は2人以上の取締役が必要であり、取締役の少なくとも半数はブルネイ国民(国籍を持つ者であって、永住者は含まない。)でなければならない。 

 

(4)外国企業の支店 

ブルネイ国内に事業の拠点を置く外国企業が国内企業を設立したい場合には、外国企業の支店として登記することができる。最低株式資本は規定されていない。 
企業名承認のためには、会社の設立綱領、定款、覚書又は外国企業の組織を明確に定めた文書の認証謄本、及び取締役と取締役の詳細を記したリスト、会社を代表して通知を受けることを認められた1人以上のブルネイ居住者の氏名と住所等を検察庁企業名登記所に提出しなければならない。企業名承認が承認されると会社設立証明書が発行される(手数料:25ブルネイドル、登記手数料:会社資本に応じて徴収)。また権限を有するブルネイ人を1名任命する必要がある。 

 

(2)営業規制

(1)概要

ブルネイ法第127条(その他ライセンス)に基づき、ブルネイにて飲食店やスーパーマーケット等の小売業等を営もうとするものは、県庁又は市役所からライセンスを取得しなければならない。 
なお、ライセンスの申請者は、ブルネイ国民及び永住権を有しているものに限られ、また会社の登記が済まされていることが条件となる。申請されたビジネスの業種と建物立地条件等により、ライセンスの有効期限が2-5年(ブルネイの歴史的地域2-3年、市内及びコンプレックスで4-5年)、年間登録料50-150ドル(スーパーマーケット150ブルネイドル、ホテル100ドル、テーラー50ドル)と異なる。 

 

(2)対象業種 

レストラン、スーパーマーケット、テーラー、ランドリー、家具・雑貨屋、修理工場等小売店全般及びホテル業等。また、見本展示会でも販売が伴う場合には許可申請の対象となる。 

 

(3)ビジネスライセンスの手続き 

申請の方法は、所轄の県庁(ブルネイ/ムアラ・クアラブライト・トゥトン・トゥンブロンに各1箇所)又は市役所(ブルネイ・ムアラ地域の市の中心に1箇所)土地登記証、賃貸契約書、地図等建物の立地条件、身分証明書、写真などを所定の申請書(2ブルネイドルにて要購入)に添えて申請することとなる。 

(3)労働許可・ビザ制度

(1)概要 

ブルネイ・ローカルの労働力の不足は、外国人労働者の雇用で補われており、ブルネイ政府は、企業が業務遂行のために外国人労働者を雇用することを許可するという柔軟な政策をとっている。外国籍の者がブルネイで雇用されるためには、ブルネイ法第93条(労働法)及びブルネイ法第17条(入国管理法)に基づき、労働局にて労働者割当許可及び就労パスを取得、その上で、入国管理局から、労働者本人の雇用ビザの取得を行わなければならない。

 

(2)手続き 

(a)労働割当許可 
雇用主は、労働割当許可申請書に「雇用者の人数」「国籍」「役職」「職業」などを雇用に関する必要事項を記載し、労働局にて雇用のためのクォータを取得しなければならない。 

(b)雇用ビザ 
労働局の推薦に基づき、出入国管理局は労働者にブルネイへの入国を許可する。ビジネス目的の場合には、訪問ビザ(プロフェッショナルビザ及びビジネスビザ)又は雇用ビザ発給のための申請が必要となる。
通常の場合において、一旦短期間の有効期限にて発給されたビザをブルネイにて延長する必要がある。 
  
(c)就労パス 
就労パス申請書に「氏名」「国名」「年齢」など労働者本人に関する必要事項を記載し、ブルネイで雇用されるための許可を労働局から取得しなければならない。 
労働局での就労パス発行にかかる審査では、ブルネイで雇用されようとする本人の要件(安全性、貯金残高等)が確認される。スペシャリストやエンジニアなど高いスキルを有する者については、特例として扱われることがあるが、55歳を超える者の就労をブルネイ政府は原則認めていない。
 

(4)税制

(1)概要 

ブルネイで定められている税は、他のASEAN諸国と比較して種類が少ない。ブルネイには、個人に対する所得税はなく、輸出税、売上税、物品税、製造税、給与税もない。外資に関連する税の概要は、以下のとおりである。 
 

(2)法人税 

(a)法人税の概念 
ブルネイ法第35条(所得税法)に基づき、法人(会社)は、事業等により、発生・受領した所得から経費、給与、賞与等を差し引いた利益について18.5%の所得税が課せられる。また、一定期間において損失の繰越も可能である。 

(b)特別な業種
ブルネイ法第119条(所得税(石油))のもと、石油事業(石油、それに付随する炭化水素又は天然ガスを探査、若しくは生産する事業)に課される所得税に関しては、利益に対し、55%の所得税が課せられる。 

(c)損失繰越他各論 
  (1)経費  
  課税所得を得る際に発生した費用の全部又はほとんどは、税務上、控除の対象になる。認められる控除と認められない控除の例は以下のとおり。 

  <認められる控除>   <認められない控除>   (2)利益  
  一般例として以下のとおり。   (3)所得税  
  課される範囲としては、以下のとおり。 

  ブルネイ居住法人の場合 
  ・ブルネイで得た又は発生した所得又は海外から得た利益が課税の対象   

  非居住法人の場合 
  ・ブルネイで発生した利益が課税の対象 

  なお、例えば取締役会議がブルネイ国内で行われる場合、事業の統括や管理はブルネイで行われていることになり、例え設立が海外であっても、税務上はブルネイの居住者とみなされる。  

  (4)損失の繰越 
  会社の損失は、6年間次期へ繰り越して将来の所得と相殺することが可能。また損失の相殺は同じ取引に制限されない。 

(d)課税手続き 
ブルネイでの徴税は、財務省歳入局で行われるが、そのほとんどの手続きはTax Agent(ブルネイで会計業を営む企業、現在ブルネイに10社程度。)が会社の代わりに申告を行っている。なお、会社が直接財務省歳入局に申告を行うのは稀なケースである。 
上述のとおり、通常の課税ケースにおける手続きは、Tax Agentを介して行われ、課税手続きに関しても、財務省がTax Agentに対して納税通知を行い、会社は、Tax Agentを通じて納税を行う事となる。 
なお、会計年度は会社設立と同時に会社役員が自社の会計年度を設定する事が出来るが、納税は、毎年1月3日から3ヶ月間と決められている。 
 

(3)印紙税 

(a)課税対象・税率 
土地や事務所の賃借契約等、様々な証書に対して、印紙税が課せられる。税率は、証書の性質によりそれぞれ異なる。 

(b)課税手続き 
契約当事者又はTax Agentは、印紙税が課せられる様々な証書を法務省印紙課税局に持ち込むことで、その場で納税を行うこととなる。 
 

(4)源泉徴収税

(a)課税対象・税率 
非居住会社に支払われる融資の利息や株式配当等に対して20%の源泉徴収が課税される。 

(b)課税手続き 
法人税の課税手続きと同じ。 
 

(5)ロイヤルティ 

(a)課税対象・税率 
ブルネイ法第44条(石油鉱産法)に基づき、生産販売に対する12.5%がロイヤルティとして課税される。 

(5)投資奨励制度

(1)概要

ブルネイ法第97条(投資奨励)に基づき、ブルネイは、国の内外の投資家がブルネイ経済の発展に役立つ産業を育成するよう奨励しており、ブルネイ法第35条(所得税)でも、投資から得た利益、配当金の送金に制限を設けない、資本利得税を課さないなど投資に関して特段の制限を設けていない。 

 

首相府エネルギー・産業局は、パイオニア産業や製品及びパイオニア・サービス企業等の指定を行っており、パイオニア産業証明書が交付された私企業には、以下のとおり、様々な税制上の優遇措置が提供される。  

 

(2)パイオニア産業 

(a)資格要件 
パイオニア産業証明書を交付された有限会社は、以下のすべての要件が満たされた場合にパイオニア産業優遇措置が適用される。 

(b)投資優遇制度 

(c)免税期間
パイオニア産業の免税期間は、生産を開始した日から始まる。なお、ハイテクパークは、現段階において、指定地として存在しない。 

 

(d)対象業種及び製品
以下は、パイオニア産業及びパイオニア製品の指定を受けた産業・製品である。 

 
飛行機ケータリング・サービス 航空会社向け各種食品
セメント最終加工工場  セメント
医薬品 各種医薬品、ビタミン、錠剤、シロップ
アルミ壁タイル アルミ製壁タイル、その他包装用タイル
圧延工場 鉄鋼、棒鋼、U字鋼等の製造・加工
工業用化学品 石油その他産業の各種化学品
造船所 船舶の修理及び保守
ティッシュペーパー  ティッシュペーパー及び台所ナプキン
繊維 各種衣料
缶詰、瓶詰、包装 各種缶詰、瓶詰、包装食品及び飲料
家具 木製、藤製、組立式家具
ガラス 板ガラス、産業用ガラス製品、光学等
窯業 タイル、衛星陶器、陶磁器
木材 合板及び木製建材
プラスチック、合成ゴム プラスチックボトル、容器、家庭用ゴム
肥料、農薬 各種肥料及び農薬
おもちゃ  各種おもちゃ
ガス 各種産業用ガス
板金加工 屋根材、金属製家具、壁材、建設材料
電気産業機器及び装置 電気モーター、発電機、変圧器、スイッチギア、交換機、整流器その他
水上交通への支援サービス 水上交通へのあらゆる支援サービス
ハラルミート用家畜 屠殺場及び食肉包装
関連する廃棄物処理産業 環境製品・サービス、リサイクル関連
非金属鉱物製品の製造 アスベストを除くあらゆる非金属製品
無線、テレビ、通信機器 無線及びテレビ受信機・トランスミッター、録音機器、半導体、電気コンデンサ-等
通信機器製造 電話及びテータ通信関連機器
 

 

(3)パイオニア・サービス企業 

ハイテク産業、輸出志向の製造・サービス産業、R&Dなどブルネイに新技術の導入を促すため、ブルネイ政府は、パイオニア・サービス企業に対しても、投資を奨励している。 

 

(a)資格要件 
大臣が公益にかなうと認めた場合であって、企業が以下いずれかの条件を満たす活動に従事する場合

 

・実験・コンサルティング、研究開発を含むエンジニアリング・サービス又は技術サービス

(b)投資優遇制度

(c)免税期間 
パイオニア・サービス企業の免税期間は、固定資本支出額により事業を開始した日から始まる。免税期間は8年だが、最高11年まで延長可能。

 

(4)ポスト・パイオニア産業 

ハイテク産業、輸出志向の製造・サービス産業、R&Dなどのパイオニア・サービス企業等に対して、ブルネイ政府は、継続的な投資を奨励するため、それが公益にかなうと認められれば、一度投資優遇制度が完了したものであっても、大臣が証明書を再度発行した場合、下記の優遇措置を受けることができる。 

 

 (a)資格要件 
以下のいずれかの条件を満たすこと。

(b)投資優遇制度

(c)免税期間 
免税期間6年間 
11年未満の延長まで 

 

(5)既存事業の拡張 

承認済みの製品の増産又は生産を目的とした新たな資本支出を行う企業は、大臣に拡張証明書の発行を申請し、これが発行された場合には、下記の優遇措置を受けることができる。 

 

 (a)資格要件 
以下いずれかの条件を満たすこと。 

(b)投資優遇制度

(c)免税期間 

 

100万ブルネイドル以下  3年 
100万ブルネイドル超   5年 
延長    1回につき3年、最長15年まで 

 

(6)輸出向け生産 

輸出事業として農業、林業、漁業に携わり生産品の全部又は一部を輸出する計画を持つ企業に対して、それが公益にかなうと認められれば大臣が証明書を発行する。この場合、当該対象企業は、下記の優遇措置を受けることができる。 

 

(a)資格要件 
輸出企業は、以下のすべての条件を満たす会計見通しがあること

(b)投資優遇制度  (c)免税期間 
パイオニア企業以外  15年 
パイオニア企業    15年 

 

 

(7)輸出向けサービス 

輸出事業としてサービスを提供する企業に対して、それが公益にかなうと認められれば大臣が証明書を発行する。この場合、当該対象企業は、下記の優遇地措置を受けることができる。 

 

(a)資格要件 
以下のいずれかの条件を満たす活動に従事する場合


(b)投資優遇制度 

(c)免税期間 
対象となるサービス  11年 
延長         1回につき3年、最長20年まで 

 

(8)国際取引の優遇措置 

国際取引を行う企業に対して、それが公益にかなうと認められて大臣が証明書を発行した場合には、当該企業は、下記の優遇措置を受けることができる。 

 

(a)資格要件 
以下のいずれかの条件を満たす場合 

 (b)投資優遇制度 

 (c)免税期間 
対象となる製品、商品   8年 

 

(9)倉庫保管とサービスの優遇 

倉庫保管とサービスの優遇を行う企業に対して、それが公益にかなうと認められれば大臣が証明書を発行する。その場合、当該企業は、下記の優遇措置を受けることができる。 

 

(a)資格要件 
以下のいずれかの条件を満たす場合 

(b)投資優遇制度 
法人税免除 

 

 

(c)免税期間
200ブルネイドル以上   11年 
延長            1回につき3年、最長20年まで 

 

(10)生産設備への外国からの融資 

非居住者の貸し手に支払われる利息に対しては20%の源泉徴収税がかかるが、以下のすべてに該当する適格外国融資に対して政府は免税を認める場合がある。 

 

 (a)資格要件 
以下のすべての条件を満たす場合

(b)投資優遇制度 
適格外国融資の利息に対する源泉徴収税が免除 

 

(11)投資促進機関 

投資促進関連機関の問い合わせ先は、以下のとおりである。 

 

首相府エネルギー・産業局
 
一次資源・観光省起業開発促進部 

Promotion & Facilitation Services and a Industry & Trade Promotion Unit 
Ministry of Industry and Primary Resources 
Jalan Menteri Besar, Bandar Seri Begawan BB3910, 
Brunei Darussalam. 
Tel: +673-2382822 
Fax: +673-2382835 
E-mail: rc01@brunet.bn 
Website: http://www.industry.gov.bn/ 
               http://www.bsmenet.org.bn/ 

 

一次資源・観光省 農業局 
Department of Agriculture and Agrifood (DAA)
Ministry of Primary Resources and Tourism
Old Airport, Brunei Darussalam BB3510 
Tel: +673-2380144 
Fax: +673-2382226 
Telex: AGRICULTURE  BRUNEI  
E-mail: info@agriculture.gov.bn 
Website: http://www.agriculture.gov.bn/ 

 

一次資源・観光省ブルネイ産業開発局 
Brunei Industrial Development Authority (BINA) 
Ministry of Primary Resources and Tourism
KM8, Jalan Gadong BE1118 
Bandar Seri Begawan 
Brunei Darussalam 
Tel: +673-2444100 ext.104 
Fax: +673-2423300 
E-mail: bruneibina@brunet.bn 
Website: http://www.bina.gov.bn/ 

 

一次資源・観光省漁業局 
Fisheries Department 
Ministry of Primary Resources and Tourism
3rd Floor, Ministry of Industry and Primary Resources Building 
Jalan Menteri Besar, Bandar Seri Begawan BB3910, 
Brunei Darussalam. 
Tel: +673-2383067/ 2382068/ 2381687 
Fax: +673-2382069 
E-mail: bruneifisheries@brunet.bn 
Website: http://www.fisheries.gov.bn/ 

 

一次資源・観光省林業局 
Forestry Department 
Ministry of Primary Resources and Tourism
Jalan Menteri Besar, Bandar Seri Begawan BB3910, 
Brunei Darussalam. 
Tel: +673-2381013/ 2381687 
Fax: +673-2381012 
E-mail: jphq@brunet.bn 
Website: http://www.forestry.gov.bn/ 

 

ブルネイ経済開発庁 
The Brunei Economic Development Board 
Block 2D, Bangunan Kerajaan
Jalan Ong Sum Ping, Bandar Seri Begawan BA1131
Brunei Darussalam. 
Tel:   +673-2230111 
Fax:  +673-2230082 
E-mail: info@bedb.com.bn 
Website: http://www.bedb.com.bn/ 

(6)環境規制

(1)概要

環境規制については、環境・公園・余暇局による「ブルネイにおける産業開発のための公害防止ガイドライン」により規定されており、公害防止を目的としている。建設にあたり必要な手順としては、まず事前に(2)に規定される包括的環境アセスメントのための資料を事前に環境・公園・娯楽局に提出し、審査を受けなければならない。建設後は(3)から(9)に掲げる要件を満たすよう、管理・運営していかなければならない。

これから新しく建設される施設は、(3)から(9)に規定される推奨基準を満たさなければならない。また、これらの基準を満たしていない既存の施設については、別途環境・公園娯楽局の定める暫定基準を満たすよう改善し、改善結果について報告しなければならない。

なお、以下の規定に違反した場合の特段の罰則はないが、建設の許可は下りない。 
また、本ガイドラインが適用される産業建築の種類は、付属書1(APPENDIX1)に掲げるとおり。
 

(2)包括的環境アセスメント(Environmental Impact Assessment) 

建物を建設する前に、周辺環境への開発による影響を確認するため、計画提案者又は開発者は関係当局を通じて以下の資料を提出し、環境・公園・娯楽局による審査を受けなければならない。 

 (ⅰ)当該建築物で行われる予定の業務又は産業工程。
 (ⅱ)当該建築物から発生する土壌、空気、水の汚染や騒音公害を防止するための対策。
 (ⅲ)当該建築物から発生または蓄積される固形廃棄物や危険物質の管理、有毒物質の取扱い及び処理のための対策。
 

(3)水質汚濁防止

 (a)水質汚染防止のための要件は以下のとおり。

  (ⅰ)許容限度を超える産業廃水を公共の下水道又は河川に放出してはならない。下水処理施設を通すべき推奨基準及び直接環境に放出してよい推奨基準はそれぞれ付属書2及び3(APPENDIX2  and 3)に掲げるとおり。
  (ⅱ)雨水は公共の下水道ではなく、河川に流さなければならない。作業地域から発生した汚染された水は、河川に放出する前に集積し処理しなければならない。
  (ⅲ)油や化学薬品を貯蔵するタンクについては、貯蔵タンクの内容物全てが事故により流出するのを防ぐため、二次的な拡散防止施設を設置しなければならない。 

 (b)事業形態ごとの具体的な要件は以下のとおり。

  (ⅰ)化学薬品/石油貯蔵庫 
     化学薬品/石油貯蔵庫には漏洩や流出を抑えるための施設を備えなければならない。当該施設のある場所には、配水路又は下水道につながる排出口や抜け穴があってはならない。

  (ⅱ)大型の化学薬品/石油貯蔵庫
      貯蔵タンク(移動式タンクを含む)の地下又は地上に十分な防御設備が設置されなければならない。当該防御設備の処理能力は、当該施設の貯蔵庫の容量以下であってはならない。

  (ⅲ)化学薬品倉庫
      (1)他の薬品に反応するおそれのある物質を保管する場合は、防火のために保管場所を区分しなければならない。同じ危険度の物質は、最も危険な物質が隔離され、保護されている間は、一緒に貯蔵することができる。
      (2)危険物質を貯蔵する場合は、防火用水を設置しなければならない。
      (3)化学薬品倉庫の床は、抗化学物質で塗装しなければならない。   

  (ⅳ)研究施設
      (1)化学分析研究施設から発生した廃水は、希釈タンクを経由して下水道に排出されなければならない。
      (2)生物学/食品分析研究施設から発生した廃水は、直接下水道に排出できる。

  (ⅴ)養殖場
      (1)養殖場から発生する作業廃水は、河川に排出する前に許容限度を満たすよう、処理しなければならない。
      (2)沈積物が発生した場合は、安定化し、脱水し、固形廃棄物として処理しなければならない。

  (ⅵ)家畜場
      (1)発生した作業廃水は、下水道又は河川に放出する前に集積し、許容排出限度を満たすよう、処理しなければならない。
      (2)廃水処理から発生した動物の排泄物や堆積物は、固定化し、脱水し、固形廃棄物として処理しなければならない。
      (3)鶏の排泄物は固形廃棄物として処理することができる。当該廃棄物は隔離された貯蔵庫に保管されなければならない。

   (ⅶ)園芸農場
      農業局の認めた農薬や化学肥料は使用することができる。その際には地表水の汚染を防止するため、製造者又は販売業者のガイドラインに厳格に従わなければならない。
 

(4)大気汚染防止 

(a)汚染された空気を発生しうる作業を行う商業及び産業施設は、大気汚染防止装置を適切かつ効果的に設置、操作、保守する必要がある。当該公害防止装置は、排出許可基準を満たすよう設計しなければならない。大気汚染のための推奨排出基準は付属書4(APPENDIX4)に掲げるとおりとする。規定のない大気汚染物質については、大気汚染を最小限にするための最も効果的な手段をとらなければならない。当該公害防止装置から排出されるガスは、排出用の煙突を通して大気に放出しなければならない。

(b)廃棄木材や可燃性の廃棄物を処理するために焼却炉を使用することは禁止する。

(c)燃料燃焼機器の操作・保守は、効果的に行わなければならない。燃料燃焼機器から排出されるガスの拡散のために、認められた高さの煙突を設置しなければならない。当該煙突の高さは、工場の屋根から3メートル又は地上から15メートルのいずれか高いほうよりも高くなければならない。

(d)大気汚染を監視するための監視装置を、排出用の煙突に設置しなければならない。当該監視装置が正確に作動するよう、製造企業の技術仕様書に従い設置しなければならない。もし、携帯式の監視装置のための設置口を設ける場合、その設置口は、当該携帯式監視装置が手動で設置できるものでなければならない。排出用煙突から放出される大気汚染を監視する代わりに、より効率的な自動公害防止装置又は自動燃料燃焼機器を設置し、それを監視するという手法でもよい。
 

(5)騒音公害防止 

(a)許容限度騒音基準を満たすよう、全ての効果的な騒音減少対策を行わなければならない。推奨限度騒音基準は付属書5(APPENDIX5)に掲げるとおり。

(b)空気圧縮機、冷却装置、冷却塔及び空調設備等のような機械器具は、騒音の影響を受けない様に、住宅地から離れたところに設置しなければならない。必要な場合は、許容限度騒音基準を満たすよう騒音減少対策を行わなければならない。
 

(6)有害物質規制 

(a)有害物質を輸入、貯蔵及び使用する必要のある産業は、当該物質の安全性に関する資料を環境・公園・余暇局に提出し、認可を受ける必要がある。また、別途、関係当局や法律(例えば有毒物質に関する法)により認可・免許・許可が必要とされている物質を輸入、貯蔵及び使用する場合は、必要な認可・免許・許可を取得する必要がある。当該物質の貯蔵及び取扱いについては、当該物質の安全に関する資料に従わなければならない。当該物質や量により、当該有害物質を運搬する前に、事前に消防局及び警察局に通知する必要がある。有害物質の一覧表は付属書6(APPENDIX6)に掲げるとおり。

(b)事故による有害物質の放出を最小限にする防止対策を行う必要があり、有害物質放出により想定される全ての緊急事態に対応するための緊急対応計画が必要である。その防止対策には以下を含むものとする。

(ⅰ)有害物質を貯蔵する場合、国際許容基準に基づき建設及び検査され、認可証の添付されたコンテナを使用すること。
(ⅱ)貯蔵地域は、事故による有害物質流出に対応するため、処理施設と同等に隔離すること。
(ⅲ)有害物質を輸送する場合、輸送経路と時間を明示すること。
(ⅳ)有害物質を運搬する輸送車の運転手は、安全や予防策、応急手当や消化について必要な知識を有し、訓練を受けている必要がある。

(c)有害物質を貯蔵及び使用する企業は、平素より組織的に安全検査を行い、運営システムの弱点を修正し、危険物質を取り扱う訓練を行わなければならない。
 

(7)有害産業廃棄物規制 

(a)工場は、有害廃棄物を環境に安全な方法で取扱い、確実に処理する必要がある。有害産業廃棄物の例は、付属書7(APPENDIX7)に掲げるとおり。

(b)工場は、再生利用のための収集、又は工場の内・外での処分のために産業廃棄物収集業務を委託する場合は、環境・公園・娯楽局に通知しなければならない。

(c)特殊な有害廃棄物の再生利用、取扱い、処理を行う工場の作業員は、環境・公園・余暇局から、それらの作業を行うための認可を受けなければならない。当該作業員は、有害産業廃棄物を運搬する時は消防局に通知しなければならない。当該作業員は、有害産業廃棄物の収集、取扱い、処理に関する記録を適正に保持しなければならない。
 

(8)モニタリング及び結果報告義務 

(a)大気汚染物質、工場廃水、有害物質を発生させ、環境に放出している産業施設の所有者または使用者は、放出物質の質・量を監視するために、環境・公園・余暇局により認められた適切なモニタリング装置またはシステムを、放出経路に沿って設置する必要がある。

(b)モニタリング装置またはシステムの設置された産業施設の所有者または使用者は、以下の責務を負う。

(ⅰ)当該装置又はシステムが正常・効果的に動作するよう保守しなければならない。
(ⅱ)全てのモニタリング結果を適切に記録しなければならない。
(ⅲ)環境・公園・余暇局に対し、四半期毎及び必要とされる場合に当該記録を提出しなければならない。

(c)モニタリング装置またはシステムの設置された産業施設の所有者または使用者は、放出水準が推奨基準又は必要とされる基準を満たしていない場合は、環境・公園・余暇局に報告しなければならない。
 

(9)オゾン層破壊物質の使用 

(a)産業用途として、オゾン層破壊物質を出さない技術の使用を奨励する。オゾン層破壊物質は、付属書6(APPENDIX6)に掲げる有害物質として分類しているため、(6)有害物質規制の要件も満たす必要がある。

(b)フロンガスの製造及びフロンガスに依存する技術の使用は禁止する。

(c)人の健康又は安全保護のために必要とされる場合または他の手段がない場合を除き、ハロン消火システムの導入は認めない。
 

(7)公共料金

(1)電気料金 
規格 
電圧220~240ボルト、AC、50サイクル 

商業用料金(平成30年3月時点) 
最初の10 ユニット(=契約単位)使用分 0.2ブルネイ・セント 
2段階目の100ユニット使用分 0.07ブルネイ・セント 
3段階目の100ユニット使用分 0.06ブルネイ・セント 
それ以上のユニット使用分 0.05ブルネイ・セント

(例) 契約単位が140kVAで、ひと月の電力消費量が26,880kWhの場合。
  最初の10ユニット     [10 Units x 140kVA] x  0.20 ブルネイ・セント = 280 ブルネイ・ドル
  2段階目の100ユニット   [100 Units x 140kVA] x 0.07ブルネイ・セント=980 ブルネイ・ドル
  残りの資料電力      (3段階目の100ユニット料金が適用) (26,880-((10x140)+(100x140)) x 0.06 = 688.8ブルネイ・ドル
  課される電力料金     280+980+688.8 = 1948.8 ブルネイ・ドル

(2)水道料金 

農業・工業用料金(平成30年3月時点) 
基本料 0.66ブルネイドル(約46円)/立法メートル 

(3)電話料金 

料金(平成18年6月1日時点) 
加入料 50ブルネイドル 
保証金 100ブルネイドル 
回線料 13ブルネイドル/1Line 

通話料 
通話先 料金(6am-7pm) 料金(7pm-6am)
固定電話 1分 0.03 ブルネイ・ドル  
携帯電話 1分 0.20  ブルネイ・ドル 1分 0.10 ブルネイ・ドル


(4)土地借料 

ブルネイ法第40条(土地利用法)に基づき、国王の書面による事前の同意がない限り、ブルネイでは外国人・外国法人による土地の所有は認めていないが、借地(工業用地等)や借家については可能である。 
一般的に、ブルネイの住宅は日本のものに比べて大きい。  

(5)政府による優良地の提供

上述のとおり、ブルネイでは、外国人・外国法人による土地の所有は認められていないが、借地については可能である。 
以下のとおり、ブルネイでは、以下の工業団地が存在している。