貿易為替制度

(1)貿易制度

 ア.国際条約加盟状況

   世界貿易機関(WTO)には1995年1月1日発足当初より加盟(関税および貿易に関する一般協定(GATT)への加盟は、1993年12月9日)。したがって、ブルネイの関税率は、WTOにバインドされたものとなっている。また、アジア太平洋経済協力会議(APEC)にも、1989年11月の発足当時から加盟。2000年のAPEC首脳会議はブルネイにて開催された。その他、ASEAN(東南アジア諸国連合)に1984年1月8日(同年1月1日の独立直後)から加盟している。ASEANへの支持・関与はブルネイ外交の基本原則の一つと言える。

 

 イ.多国間及び二国間自由貿易協定(FTA)及び経済連携協定(EPA)の現況

  【ASEAN加盟国として締結したFTA及びEPA】
   自由貿易協定(FTA)及び経済連携協定(EPA)に関しては、ブルネイはASEAN加盟国として、ASEAN域内でASEAN物品貿易協定(ATIGA、旧ASEAN自由貿易地域:AFTA-CEPT協定)を、ASEAN全体とオーストラリア・ニュージーランド、中国、インド、日本及び韓国とは、FTAないしEPAを締結済みである。

   

  【二国間EPA:日本ブルネイ経済連携協定】
   二国間EPAとしては、日本ブルネイ経済連携協定を締結している。同協定については2005年12月に開催された日ASEAN首脳会議(於:マレーシア・クアラルンプール)の際、小泉総理(当時)とボルキア国王との間で、EPA交渉立ち上げのための準備協議開始に合意。準備会合における議論を経て、2006年5月、麻生外務大臣(当時)とモハマッド外相との間の会談で正式に開始が合意され、同年6月に第1回交渉会合が東京にて開催された。その後、ブルネイ及び東京の双方にて集中的な交渉が行われ、2006年12月に協定の主要点に関して大筋合意に達し、ボルキア国王と安倍総理(当時)の間でこれを歓迎する書簡の交換が行われた。

 

   2007年3月、首席交渉官レベルの第4回会合において、一部の論点を除き実質的に交渉が完了し、同年6月18日のボルキア国王の訪日の際に安倍総理(当時)との間で署名。同協定は両国の批准手続きを経て、2008年7月に発効した。

 

  【多国間EPA:環太平洋パートナーシップ協定】
   多国間EPAとしては、2005年6月にシンガポール、チリ、ニュージーランドの3か国と環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の原協定に調印し、2006年5月に発効。

 

   同協定は2002年のAPEC首脳会議でチリ、シンガポール、ニュージーランドの首脳が交渉開始に合意。2005年6月のAPEC貿易大臣会合(於:韓国・済州)において実質合意に達するとともに、ブルネイについても協定の締約国となることで合意した。同協定は、ブルネイにとっては、ASEANを基軸としてAFTAやASEAN全体と日本、中国、韓国と締結したFTAとは異なる、ブルネイとして初めての複数国間EPAである。

 

 ウ.貿易管理制度

   ブルネイで貿易業を営もうとする者は、ブルネイ法第92条(社名法)に基づいた会社名及び事業名の登記を済ませた上、ブルネイ関税局に対し、事業者登録番号、業種及び会社名等の貿易業登録の届出を行う必要がある。

 

   また、関税法(Custom Order, 2006)に基づき、ブルネイでは、以下の輸出入管理対象品目を定めており、これらの輸出入に関しては事前に許可を取得していないと貿易を行うことはできない。

 

   その手続きについては、(3)のとおり。(それ以外の品目に関しては特段の規制は課されていない。)

 

 【輸出入管理対象品目】

 
  • 宗教関連の印刷物、フィルム、CD、LD、VCD、DVD、カセット、コーラン、ハーディス、宗教関連本、護符、疑わしい印や写真を含む物
  • ハラル・生・冷蔵・冷凍肉
  • 銃器、爆発物、爆竹、危険な武器、金属くず
  • 植物、農作物、生きた動物、野菜、果物、卵
  • 魚類、エビ、貝類、水棲の微生物、漁業器具等
  • 毒物、化学薬品、放射性物質
  • 無線送信機・受信機、通信機器(電話、FAX機、トランシーバ-等)
  • 中古車輌(自動車、オートバイ、ミニ・バス、ピックアップ・トラック、トラック、トレーラー、自転車等のモーター無車輌) 木材、木材製品
  • 記章、バナー、政府の旗や紋章入りの記念品、王族の盛装、政府の旗やクレスト
  • ブルネイ産ないしブルネイ国内で発見されたのアンティーク製品及び重要文化財
  • ミネラル水、セメント等の建築資材
  • 米、砂糖、塩
  • 放送機材(パラボラ・アンテナ、デコーダー等)
 

 エ.関税制度

  (ア)現行関税率の概要

 

   ブルネイはWTOに加盟しており、加盟国から輸入されるものについてはWTO譲許税率が適用されるが、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を締結・発効している国から輸入されるものについては、各特恵関税率が適用される。

 

   ブルネイに輸入される課税品は輸入関税法2007(Customs Import Duties Order 2007)に従って課税される。ASEAN共通特恵関税(CEPT)については、輸入業者は、外務貿易省の定める基準に従い利用が可能。殆どの輸入関税は、従価税率(輸入品の価格を標準として関税を課す税率)に応じて課せられ、幾つかの品目に限り、重さや量を基準として定められた特定の税率に基づき関税が課せられる。課税品に当たるかどうかについての輸入品の分類は、「輸入関税法2007」に従う。物品の輸入関税率が変更された場合には、法務庁のホームページに輸入関税法の改訂として、情報が掲載される。

 

   また、1973年以降、ブルネイは地元企業支援の一環として、輸出品に対する税金は課していない。

 

  (イ)ASEAN物品貿易協定(ATIGA、旧ASEAN自由貿易地域:AFTA-CEPT協定)共通特恵関税(CEPT)
     ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の旧協定であるASEAN自由貿易地域

 

   (AFTA-CEPT協定)は、1992年1月の第4回ASEAN首脳会議においてASEAN域内の自由貿易構想として正式に合意され、1993年にブルネイを含む原加盟6カ国(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)で発効。その後ベトナムが1995年、ラオスとミャンマーが1997年、カンボジアが1999年に加盟した。

 

   ASEAN諸国は1992年のAFTA-CEPT協定以降のAFTAに関連する多くの協定、議定書、行動計画などを総括し、ASEAN-CEPT協定に代わる協定として、2010年5月にASEAN物品貿易協定(ATIGA)を発効。ATIGAの発効により、自由化の対象品目や対象事項が拡大された。但し、関税引き下げについては、共通有効特恵関税(CEPT:Common Effective Preferential Tariff)をベースとしている。

 

   CEPTの適用対象品目は次の種類に分けられている。
     ● 関税引き下げ適用品目(Inclusion List:IL)→関税率20%以下の品目が対象
     ● 暫定除外品目(Temporary Exclusion List:TEL)→CEPTの対象とするには未だ整備の整っていない品目
     ● センシティブ品目(Sensitive List:SL)→ILへの移行を弾力的に扱う品目、未加工農産物など
     ● 高度センシティブ品目(Highly Sensitive List:HSL)→コメ関連品目
   この他に、安全保障、公序良俗や健康保護などのために各国に認められた除外品目として一般的除外品(General Exclusion List:GEL)がある。

 

   TELに関しては、2000年以降、ASEAN域内貿易の自由化が着実に進展して、ILへの移行が進んだ結果、全加盟国において、2009年8月以降は該当品目がない。

 

   ブルネイは2012年10月現在、GELとして、あへん、ビール、ぶどう酒、発泡酒、花火、軍用の武器、拳銃、その他火器、その他武器、爆弾・ミサイル、刀剣を設定。TEL、SL及びHSLは設定していない。

 

   CEPTが適用されるためには、原産地規則として、ASEAN域内で付加価値の40%以上が生産されいるという条件を満たすことが必要である。また、ATIGAにおいては互恵主義が原則であり、輸出国、輸入国ともに当該産品をILに含めていることが前提条件となる。

 

  (ウ)その他の特恵関税

 

   ATIGA以外のFTAやEPAによる特恵関税については、次のリンク先をご参照。

 

 【多国間協定】

   

 【二国間協定】

   

  (エ)特殊関税

 

   WTO協定に基づき一定の要件の下で発動が許されている輸入制限措置であるセーフガード措置、アンチダンピング措置、補助金相殺関税措置等について、ブルネイはWTO加盟国であるため発動する権利を有するが、当該措置について規定した国内法はない。

(2)為替制度

 ア.為替管理制度

   政府はブルネイに流入・流出する資本の流れは監視するが、外国為替管理は行われていない。


 イ.外貨の持込・持出・送金規制

   ブルネイ非居住者であっても銀行に口座を持つことができ、非居住者による借り入れにも制限を設けていない。また、収益、配当金、ロイヤリティ、借入金返済、流動化資金等の投資関連資金の本国送金を制限していない。


(3)輸出入手続

 ア.輸出入許可申請

   輸出入管理の対象となる品目を海外と取引しようとする場合には、事前に2段階審査が設けられており、それぞれの所轄官庁によりライセンスを取得後、関税局から輸出入許可を取得しなければならない。

 

 

 

 イ.申請手続き

   輸出入管理品目の輸出入に関する所轄官庁への申請方法は、各省ごとに異なり、それぞれ個別の取引毎に事前にライセンスを取得しなければならない(申請書は、各省ごとに異なる)。
   各輸出入管理品目の所轄官庁及び問い合わせ先は、以下のとおり。

 

(ア) 宗教関連の印刷物、フィルム、CD、LD、VCD、DVD、カセット、コーラン、ハーディス、宗教関連本、護符、疑わしい印や写真を含む物

 

【所轄官庁及び問合せ先】
国家警察(Royal Brunei Police Force)
Tel:    +673-2459500
E-mail:  info@police.gov.bn

イスラミック・ダクワ・センター(Islamic Dakwah Center)【宗教省】
Tel:      +673-2382525
E-mail:   info@pusat-dakwah.gov.bn

保安局(Internal Security Department)【内務省】
Tel:   +673-2223225
E-mail:  info@internal-security.gov.bn

 

 

(イ) ハラル・生・冷蔵・冷凍肉

 

【所轄官庁及び問合せ先】
ハラル輸入許可発行委員会(Halal Import Permit Issuing Board)【宗教省】
Tel:   +673-2382525
E-mail:  info@religious-affairs.gov.bn

ヘルス・サービス局(Health Services Department)【保健省】
Tel:   +673-2381640
E-mail:  info@moh.gov.bn

農業局(Agriculture Department)【産業一次資源省】
Tel:   +673-2380144
E-mail:  info@agriculture.gov.bn

関税局(Royal Customs and Excise Department)【財務省】
Tel:   +673-2382333
E-mail:  info@customs.gov.bn

 

 

(ウ) 銃器、爆発物、爆竹、危険な武器、金属くず

 

【所轄官庁及び問合せ先】
国家警察(Royal Brunei Police Force)
Tel: +673-2459500
E-mail: info@police.gov.bn

 

 

(エ) 植物、農作物、生きた動物、野菜、果物、卵

 

【所轄官庁及び問合せ先】
農業局(Agriculture Department)【産業一次資源省】
Tel:   +673-2380144
E-mail:  info@agriculture.gov.bn

 

 

(オ) 魚類、エビ、貝類、水棲の微生物、漁業器具等

 

【所轄官庁及び問合せ先】
水産局(Fisheries Department)【産業一次資源省】
Tel:   +673-2382068
E-mail:  info@fisheries.gov.bn

 

 

(カ) 毒物、化学薬品、放射性物質

 

【所轄官庁及び問合せ先】
保健省(Ministry of Health)
Tel:   +673-2381640
E-mail:  info@moh.gov.bn


食品、医薬品、薬草、健康食品、飲料、スナックの輸出入に関する照会先:
保健省(Ministry of Health)
Tel: +673-2381640
E-mail: info@moh.gov.bn
 

 

(キ) 無線送信機・受信機、通信機器(電話、FAX機、トランシーバ-等)

 

【所轄官庁及び問合せ先】
情報通信技術業管轄当局 (Authority for Info-Communication Technology Industry: AiTi)
Tel:   +673-2323232
E-mail:  aiti@brunet.bn

 

 

(ク) 中古車輌(自動車、オートバイ、ミニ・バス、ピックアップ・トラック、トラック、トレーラー、自転車等のモーター無車輌)

 

【所轄官庁及び問合せ先】
陸運局(Land Transport Department)【通信省】
Tel:   +673-2451979
E-mail:  info@land-transport.gov.bn

関税局(Royal Customs and Excise Department)【財務省】
Tel:   +673-2382333
E-mail:  info@customs.mof.gov.bn

 

 

(ケ) 木材、木材製品

 

【所轄官庁及び問合せ先】
林業局(Forestry Department)【産業一次資源省】
Tel:   +673-2381013
E-mail:  info@forestry.gov.bn

 

 

(コ) 記章、バナー、政府の旗や紋章入りの記念品、王族の盛装、政府の旗やクレスト

 

【所轄官庁及び問合せ先】
儀礼慣習局(Adat Istiadat Department)【首相府】
Tel:   +673-2244545
E-mail:  info@adat-istiadat.gov.bn

 

 

(サ) ブルネイ産ないしブルネイ国内で発見されたのアンティーク製品及び重要文化財

 

【所轄官庁及び問合せ先】
博物館局(Museums Department)【文化青年スポーツ省】
Tel:   +673-2244545
E-mail:  info@museums.gov.bn

 

 

(シ) ミネラル水、セメント等の建築資材

 

【所轄官庁及び問合せ先】
産業一次資源省(Ministry of Industry and Primary Resources)
Tel:   +673-2382822
E-mail:  helpdesk@industry.gov.bn

 

 

(ス) 米、砂糖、塩

 

【所轄官庁及び問合せ先】
国家貯蔵局 (Information Technology and State Store)【財務省】
Tel:   +673-2423151
E-mail:  enquiries@itss.mof.gov.bn

 

 

(セ) 放送機材(パラボラ・アンテナ、デコーダー等)

 

【所轄官庁及び問合せ先】
首相府(Prime Minister's Office)
Tel:   +673-2242780
E-mail:  info@jpm.gov.bn