安全の手引きのページ

 

安全の手引き

  1. 序言

         2. 安全対策の基本的心構え

         3. ブルネイにおける犯罪発生状況

         4. 防犯のための注意事項

  5. 交通事情と事故への対応

  6. 騒乱・テロ・誘拐への対応

  7. 緊急事態対策

  8. 感染症対策

  9. 緊急連絡先

1.序言

ブルネイは一般的に「安全で治安の良い国」と言われていますが、平和なこの国においても、日々生活している中で事件や事故に遭遇する可能性が全くないとは言えません。しかし、事件や事故は、日頃の対策によって未然に防ぐことができます。また、不幸にもトラブルに巻き込まれてしまった場合でも、対処方法によって被害を最小限に抑えることが可能です。皆様の安全対策の一助として、この「安全の手引き」を御一読頂ければ幸いです。

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2.安全対策の基本的心構え

皆様が生活されているこの国では、政府発表や報道によると、不特定多数の一般市民が巻き込まれる悲惨な事件や事故は殆どないようです。しかし、安全で治安が良いとはいえ、ブルネイにおいても人的・物的損害を伴う犯罪は発生し、交通事故は年々増加傾向にあります。一見平和な日常生活にあっても、安全対策と危機管理は必要です。
海外においては、(1)自分の身は自分で守る (2)予防は最良の危機管理である (3)悲観的に準備し、楽観的に行動する (4)安全のための三原則を順守する(・目立たない ・用心を怠らない ・行動を予知されない) (5)住宅の安全を確保する (6)現地社会にとけ込む (7)精神衛生と健康管理に留意することを基本とし、まず個人ができることから始めましょう。
また、特に当国では、国王を始め王室に対する一般国民の尊崇の念に配慮すること、国民の大多数が敬虔なイスラム教徒であることから、宗教に関する知識と理解をもって行動することも大切です

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3.ブルネイにおける犯罪発生状況

最近3年間の犯罪統計は、以下のとおりブルネイにおける家屋侵入盗と車両に関する盗難事件の増加を示しています。

 
窃盗
家屋侵入盗
車上荒らし
車泥棒
殺人
強盗
傷害
強姦
2007年
1,213
505
177
79
1
4
162
24
2008年
1,165
336
203
84
1
4
162
34
2009年
1,131
499
242
1
3
7
509
30
(出典:THE  ROYAL  BRUNEI  POLICE  FORCE .)

  2009年中の日本とブルネイの犯罪1件に対する人口の割合を比較しますと、日本は殺人(ブルネイの4倍)、強盗(同5倍)、窃盗(同1.8倍)、車両関係の事件(同4.5倍)がブルネイより多く、ブルネイは日本より傷害(日本の6倍)と強姦(同6.7倍)の発生率が高いという結果です。また、家屋侵入盗(国民約800人に1人の割合で発生)は、両国ともほぼ同じ割合でした。

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4.防犯のための注意事項

過去の傾向から、当国で平和な生活を維持するためには、日頃から窃盗、家屋侵入盗、車両盗難に対する備えを行うことが大切です。次に、それぞれの犯罪に対する防犯対策を、列記します。
○ 窃盗
(1)ショッピングモール、ホテルやレストランなど不特定多数が集まる場所では、必要以上の現金や貴重品を所持しないようにし、特に買い物や食事の際、現金が入ったバックや貴重品を椅子やテーブルに置いたまま、その場を離れることは避けましょう。
(2)銀行のATMでの現金引き出しや両替商での換金の際には、できるだけ単独の行動を避け、多額の現金は人目にふれないようしましょう。現金を手にした後は、周囲に不審な人物がいないか充分注意を払い、挙動不審者が後をついてきた場合は、すぐに周囲の人に助けを求める方が得策です。
○ 家屋侵入盗
(1)借家を探す時には、物件所在地の環境と家屋の施錠設備(出入口扉、窓、鉄格子、警報機等)をチェックし、施錠装置に不備がある場合は、必ず入居前に補強や修理を依頼しましょう。また、平屋の場合は屋根、天井などもチェックしましょう。防犯対策が不十分だと思われたら、市販されている強固な金属製チェーン・キーやボルト・キーを追加設置し、二重・三重の施錠を施すことが有効です。
(2)過去、家宅侵入の被害を受けた家屋は、その後も被害に遭う場合があります。侵入歴のある家かどうかについて、入居前に家主に直接照会するか、可能な範囲で調べることをお勧めします。
(3)独立家屋の場合は、防犯のために犬を飼うことも一案です。ただし、マレー系一般国民にとって、宗教上犬は不浄の動物とされていますので、家主だけでなく周囲の住民の了解も必要です。
(4)メイド等の個人的な雇用契約に当たっては、知人・友人からの紹介が最も望ましく、そうでない場合には2~3ヶ月程度の試用期間を設け、信頼性が高い人物であるか確認することをお薦めします。不在中、メイドが空き巣を手引きすることもあります。例え、信頼できる人物であっても、多額の現金を見える所に置かないなどの配慮は必要です。
(5)在宅時でも、ゲートを閉め、出入り口は施錠し、第三者が敷地内や家屋に簡単に入ることができない物的環境を、常時作ることが大切です。また、外見上、犯罪者が心理的に入りにくい状況(家屋内から外部への見通しが良い、警報機を設置している様子が伺える、整理整頓されていて住人が神経質で用心深く思われるなど)を工夫することも有効です。
(7)施錠をしていない窓からの侵入防止のため、就寝・外出前には、全部の窓を施錠するよう心懸けましょう。また、不在の際や夜間、外向けの照明を点灯しておくことや室内のTVやステレオをオンにしておくことで、犯罪者は侵入しにくくなります。長期間家を空ける時は、知人・友人等信頼できる人に、家の周囲などを巡回してもらうことも一案です。
(8)万が一、家屋内に不審者が侵入してきた場合には、犯罪者が銃器や蛮刀などの武器を所持していることもありますので、犯人との遭遇を避けて安全な場所に留まり、警察に連絡する手段を確保することが大切です。不幸にして犯人と遭遇した場合には、抵抗せず、極力犯人の顔を見ないようにして、その要求に従い、犯人に一刻も早く現場から立ち去ってもらうようにすることが肝要です。
(9)家主よりの依頼と称し、犯罪者が庭の手入れや家屋の修理等を装って侵入してくる場合もあります。事前に通報を受けていない場合は、後日再訪するよう求めるか、家主に確認した上で作業を実施させるようにしましょう。作業中も、目を離さないように心がけましょう。
(10)日頃から、住居の周辺に注意を払い、変事の発生や不審人物の徘徊など危険を感じた時は、安全が確認されるまで外出を控え、警察に通報してください。
(11)当国の特徴として、「中国旧正月(Chinese New Year)」と断食(ラマダン)明けの「大祭(ハリラヤ)」の時期に事件が多発しています。この時期には一層の用心が必要です。
○ 車両荒らし・盗難
(1)車の運転中と駐車中は、必ずドアロックをし、また、短時間でも駐車する時は、全部の窓が完全に閉っているか確認しましょう。
(2)一時的に駐車する際は、犯罪者がターゲットにしやすい場所(隅の方、暗い所、人が通らない場所など)は避け、人通りが多い場所や監視員がいる所に駐車する方が無難です。
(3)車内の窓から見える所に、バックなどの貴重品を置いたまま車から離れることは避けましょう。パソコンはトランクに保管していても、探知機を持った犯人に感知され盗難に遭う可能性があります。

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5.交通事情と事故への対応

○ ブルネイの交通事情
(1)交通事故による死亡者は、2008年の29名から、2009年は38名に増加しています。昨年一年間の日本における交通事故死亡者数は4,914名でしたので、2009年の死亡者数を人口の割合で比較すると、ブルネイは日本の約2.5倍多いことになります。
(2)日本と同様、車は左側通行で、道路、信号などは整備され、比較的運転がしやすい状況です。しかし、日本にはないルール(ロータリーでの右側優先、右折する場合は右折の信号が出てからターンする、左折車は前方直進が赤信号でも右からの直進車がなければ専用レーンで左折可能)があり、交通規則に慣れるまで用心が必要です。
(3)一般的にドライバーは、運転マナーが良いとは言えず、スピード運転、強引な割り込み、無理な追い越し、ウインカー点滅なしの右・左折、信号無視など人為的要素に加え、スコールの際は視界の確保が難しく、道路に水が溜まりハンドルを取られるという自然現象もあり、当国における交通事故の原因は多種に渡っています。
(4)宗教上、イスラム教徒は飲酒が禁じられているため、飲酒運転による事故はほとんどありません。外国人は、公共の場以外であれば飲酒が可能ですが、道路法規上、飲酒運転は1万ドル以下の罰金が課せられます。アルコールを摂取することを予定している場合は、予めタクシーを予約しておくか、または飲酒をしない同席者に送迎してもらいましょう。
(5)自動車を運転する際は、運転免許証の携行が義務づけられています。同じく携帯義務がある身分証明書と、万一の事態に備え、緊急連絡先も常時所持していると便利です。
(6)当国では、事故に遭遇し、こちらが全くの被害者である場合でも、加害者側から十分な賠償を得ることが困難な場合があります。自動車保険に加入する場合は、どのようなケースもカバーする保険に入ることをお勧めします。
○ 交通事故への対応
(1)交通事故発生時は、自損・他損、人身事故のいずれの場合も、速やかに警察署に通報することが義務付けられており、警察の現場検証が終わるまでは、事故車両はそのままにしておく必要があります。現場検証終了前に事故車を移動すると保険金が支払われない場合がありますので、事故車両を動かす際は保険会社に確認する必要があります。
(2)しかし、軽微な事故の場合には、当事者双方の示談で解決するケースもあり、警察当局も極めて軽微な事故には敢えて介入しません。後日のトラブル防止のため、そのような場合は示談書を作成することが得策です。
(3)交通事故の現場に興味本位の野次馬が群がり、特に死傷事故の場合、加害者が報復リンチを受けるケースが稀にあるようです。万が一、加害者となって危険を感じる場合は、警官が来るまで車内に留まり、自分自身の安全を確保するようにしましょう。
(4)事故を起こし、言葉の問題でその状況を充分説明出来ないことが想定される場合には、事故現場まで来て支援してもらえる友人・知人をリストアップしておくなどの対処方法を検討しておきましょう。なお、警察の事故報告書様式はマレー語による記載ですが、記入は英語でも可能です。

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6.騒乱・テロ・誘拐への対応

(1)当国は、1962年以来「非常事態宣言」が継続して発出され、国内の治安はほぼ政府のコントロール下にあって、反政府勢力や過激派分子の存在は確認されておらず、国内は全般的に平和が保たれています。現在の状況から大規模な騒乱を予想することは現実的ではないようですが、万が一、一般市民が巻き込まれるような騒乱が確認された場合、当館は皆様の避難場所として大使館と大使公邸を想定しています。この場合の対処につきましては、以下に従ってください。
(イ)まず、身近な場所で安全確保をし、その場から動かない
(ロ)状況と所在地を、大使館及び関係先に連絡する
(ハ)その場に止まることで生命に危険があると判断される場合は、速やかに脱出し、安全な場所(大使館または大使公邸)へ避難する。
(ニ)移動先が、やむを得ず大使館及び公邸以外となった場合は、当館と関係先に連絡する
(2)地理的にフィリピン及びインドネシアに近いことから、両国の反政府ゲリラ組織の潜入・地下活動の可能性が懸念されますが、ブルネイ政府はテロの脅威は低いとしています。しかしながら、近年の世界情勢や当国の地理的環境から、危険分子が陸路や海路を利用して侵入して来る可能性が全くないとは断言できません。テロリストなどによる非合法活動に遭遇した場合の対応策は、以下のとおりです。
(イ)公共の場で、変事(爆発音、銃の発射音、煙や異臭など)に気づいた場合は、直ちにその場から離れる
(ロ)避難が困難な場合は、手近な物陰に隠れるか、その場に伏せるなど姿勢を低くして動かない
(ハ)外部から救助が来るなど、周囲の安全が確認されてから再び行動を開始する
(ニ)大使館に、無事脱出したことを連絡する
(3)豊かで政権が安定している当国において、営利目的や政治的目的の誘拐事件が発生することは、可能性としては低いのですが、不幸にも金品目当てや個人的怨恨の対象となり誘拐された場合は、決して犯人に抵抗せず、希望を失わずに忍耐強く救出を待つことが大切です。
(4)上記の(1)、(2)及び(3)の場合と、その他の事件や事故が発生した場合、まず在外公館は日本人の皆様がトラブルに巻き込まれていないかの確認を行います。万が一、上記のようなケースも含め、事件や事故に遭遇した際は直ちに、すぐに連絡が取れる状況にないようでしたら、安全な場所に避難し、連絡可能な態勢となってから、当館にご一報願います。

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7.緊急事態対策

ブルネイにおいては、これまで大規模な地震・洪水・森林火災などの自然災害はなく、過去に在留邦人の皆様が天災のため国外脱出をするような事態は発生しておりません。しかしながら、万が一予期せぬ天災や人災によって、皆様が国外退避を余儀なくされるような緊急事態が生じた場合は、大使館において対策を講じますので、当館からの情報提供や関連の連絡(電話、メール、ホームぺージ)を参考に行動されるようお願いします。
他方、自助努力により、国外脱出をされる場合には、必ず大使館へその旨をご連絡ください。事前に連絡する時間的余裕が無い場合には、脱出先から最寄りの在外公館か外務省へ連絡頂きますようお願いします。当館は、上記6.のケースと同様、皆様の安否確認を行います。
また、身近に旅行等で当地に滞在中の日本人の方をご存じの場合は、滞在先のホテルや氏名などを速やかに大使館へ通報してください。

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8.感染症対策

(1)熱帯雨林型気候で高温・多湿な当国では、一般的な意味での感染症対策は必要ですが、近隣諸国に比べるとマラリアやデング熱等の発症例が少なく、死亡者が多数に上るような伝染病はこれまで流行していません。
(2)しかし、昨年来のH1N1型インフルエンザの世界的流行は、もはや感染症が狭い地域に止まらず、直ちに周辺国にも波及することの証左となりました。アジアでは、H5N1型鳥インフルエンザによる感染が問題となり、死亡者も出ています。WHOの報告では、鳥インフルエンザ(トリ-ヒト感染)が、新型インフルエンザ(ヒト-ヒト感染)に推移するのも時間の問題であると言われています。感染症(特に鳥あるいは新型インフルエンザ関係)に関わる最新情報には、日頃から充分に注意を払いましょう。
(3)当館のホームページ(http://www.bn.emb-japan.go.jp/)では、感染症についての最新情報を提供しています。

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9.緊急連絡先

*在ブルネイ日本国大使館 
平日(08:30-16:30) 2229265
夜間及び祝祭日         8735195874024
 *警察            993
   ブルネイ警察本部     2459500
 *救急車(リパス国立病院)  991 
 *消防署           995
 *入国管理局            2382106
 *観光局                              2382822

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