Earth Return of “HAYABUSA”

小惑星探査機「はやぶさ」(Falcon ※1)は、6月13日、小惑星イトカワから往復約60億kmの旅を終え、7年ぶりに地球に帰還。月以外の天体に着陸し、帰還したのは「はやぶさ」が世界初。

  1. 小惑星探査機 「はやぶさ」 (Asteroid Explorer “HAYABUSA”)が世界初の偉業を達成 

(1)これまでの惑星探査は、月探査等を除き片道切符で、その場に止まるか、永遠に宇宙を漂い続けるだけ。しかし、次世代の惑星探査には往復航行が欠かせない。
(2)2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」は、2005年に地球から約3億km離れた小惑星イトカワに着陸月以外の天体への着陸・帰還、さらに航行日数も世界最長の2592日という世界初の偉業を達成。
(3)イトカワのサンプルが入っているかもしれないカプセルも豪州のウーメラ砂漠で無事回収。採取がされていれば世界で初めて小惑星から持ち帰ったサンプルから、太陽系の誕生や進化を探る貴重な手がかりが得られるのではないかと期待される。

 2.「はやぶさ」を支えた数々の日本の宇宙技術  
イトカワから離陸後、「はやぶさ」は、制御不能、通信途絶、主力エンジンの故障等、数々のトラブルに見舞われた。4年の予定が7年となったが、これらのトラブルを乗り越え、地球に無事帰還できたのは、日本の優れた宇宙技術によるもの。
(1)イオンエンジンという新しい技術
長距離飛行と地球帰還では、JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)の主導の下、NECが開発・製作したイオンエンジンが活躍。
イオンエンジンは、太陽光をエネルギー源にしており、化学燃料を使う従来型のエンジンに比べ推力は劣るが、少ない燃料で効率よく推進力を得ることができ、長距離の宇宙飛行に適している。1機の探査機として累計4万時間もの長時間にわたる稼働は世界最長。
(2)自律誘導航法
「はやぶさ」はレーザ高度計や近距離センサなどを用いて、自らの位置を判断し、自分で目標に近づきながら姿勢を変える自律航法に挑戦。イトカワへの接近や同一軌道の飛行、着陸も「はやぶさ」自らが情報を判断して行った。
(3)イトカワへのタッチダウンとサンプル採取
イトカワは非常に重力が小さい惑星であるため、「はやぶさ」はイトカワに接地すると金属球を撃ち込んで地表面を砕き、飛び散った岩や砂を採取する機構を新規開発し、搭載。
(4)リエントリーカプセル
イトカワから採集できたサンプルを搭載する直径40cmのカプセル。秒速12kmを超える速度で地球の大気圏に再突入しても耐えられる材料で作られ、大気による減速後、パラシュートを開いて地上に軟着陸する。

※1 「はやぶさ」(Falcon)という名称は、イトカワから瞬時にサンプル採取する方法(Touch and Go)を、獲物を捕獲する様子になぞらえて命名されたもの。

※2 「はやぶさ」に関する更に詳しい説明は、http://hayabusa.jaxa.jp/e/index.htmlを参照して下さい。

 

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